部下や仲間から人生や進路について相談されるとき、私はしばしば、
「最終的には直感に従うと良いと思う」という助言をします。
将棋で前人未到の永世七冠を達成した羽生善治先生は、
「ここぞという勝負どころでは私は直感に頼ることが多い」
という言葉を残しています。
直感は、「じっくり吟味した上での選択」ではありません。
「じっくり吟味した上での選択」は「判断」と言います。
選択肢が目の前に広がっている場合でも「これだ!」と、ひとつの選択肢が輝いて見えるような感覚が直感です。
「雷が落ちてきたように」閃くものこそが直感です。
そこには一見、洞察や理屈はありません。
そのため、「なんでその選択をしたの?」と誰かから問われたとき、
「うーん、なんとなく…」だとか、
「特に理由は思いつかないけど…」という返事になってしまうのも直感の特徴です。
でも、それでいいのです。
直感とは「あなたの人生の集大成」だからです。
将棋のプロ棋士は生まれてから何千局、何万局という対局をこなしていることでしょう。
将棋棋士の「直感」はその何千局、何万局の集大成なのです。
それと同じように、仕事で経験を積んだ人はいくつもの選択と困難と挫折と成功にぶつかってきたでしょう。
仕事における「直感」はその集大成なのです。
いくつもの恋愛や出会いを繰り返してきた人はその経験があなたの頭脳にインプットされています。
よって恋愛や出会いにおける「直感」もその集大成なのです。
もちろん額に汗かき考え抜く「判断」を捨てて良いわけではありません。
でも、最終的な決断においては理屈ではなく、理由のない「直感」を信じること。
あなたの人生の集大成たる「直感」に素直に身を預けてみること。
そのようにして選んだ選択の方が結果として実を結ぶ可能性は高いのではないかと、私は思います。