先日の記事のように最近「罪悪感」についての相談を受けることが多いです。
罪悪感は心理学や哲学など学問的にも非常に興味深いテーマで、研究者が日々調査や研究を積み上げています。
また、日常生活やビジネス、恋愛や夫婦関係においても発生しやすく、罪悪感について理解を深めることで生きるのがどんどん楽になってくると思います。
今日は罪悪感の原因のひとつ、「思い込み」についてお話していきましょう。
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「観念(belief、idea)」という心理学の用語があります。
分かりやすくすると「思い込み」や「自分ルール」とも言えます。
普通の人はこの「観念」を数千個持っていると言われており、無意識的に人は自分自身の観念(思い込み)に従って行動しています。
この思い込みが多ければ多いほど、そして強力であれば強力であるほど、人は罪悪感を抱えやすくなるのです。
ありがちな観念を列挙してみると…
・社会人なら時間は守るべきだ
・就職したらずっとその会社で働くべきだ
・お客様には笑顔で対応すべきだ
・○歳なら○○万円は貯金をしているべきだ
・○歳までに結婚をしているべきだ
・皆に好かれるべきだ
・いつもポジティブであるべきだ
・男は女より仕事ができるべきだ
・男は女より年収が高いべきだ
・女は家事全般完璧にこなせるべきだ
・良妻賢母であるべきだ
・母親は子供にいつも優しくすべきだ
このような感じになるでしょうか。
いずれもよく聞くものですし、「私もこの観念絶対ある!」というものも入っているはずです。
この観念が罪悪感の元凶になります。
例えば「社会人なら時間を死守するべきだ」という強い観念がある人は、電車の遅延や通勤上のトラブルなどやむを得ない事情があったとしても、会社への途上で強烈な罪悪感を感じるはずです。
実際に、「1分でも遅刻しそうになると会社に行きたくなくなる」「申し訳ない気持ちで吐きそうになる」という人はたくさんいます。
例えば、「いつも笑顔でポジティブであるべきだ」という観念の持ち主であれば、
前日に落ち込む出来事があって飲み会でテンションを上げられなかった時など、帰宅後に強烈な罪悪感に苛まれることになります。
「本来であればポジティブでテンション高いのが私の役割なのに乗れなくて申し訳ない」という罪悪感を抱えてしまうはずです。
最初に述べたようにこの観念が多ければ多いほど、そして強ければ強いほど、
「罪悪感ポイント」も多くなりますし沸き起こる罪悪感もより強烈になります。
繊細な人は「罪悪感を感じない日はない」「毎日何らかの申し訳なさを抱えている」と言うこともありますが、
その根底にはたくさんの根強い「観念」があるのです。
また、多くの観念は無意識的なものであり、
普通に過ごしているだけでは「自分にはこういう観念がある」「自分にはこういう厳しい思い込みがある」「自分はいつも〜すべきだと思っている」と気づくことはなかなか難しいです。
罪悪感を手放すためには、そしてその根にある観念を手放すためには、
意識的に立ち止まり自分の心としっかり向き合う必要があるのですね。
罪悪感は普通に日常生活を過ごしているだけでは決して無くなりませんし、
その原因すら認識できない厄介な感情なのです。
「私は〜すべきである」
「私は〜しなきゃいけない」
「私は〜する必要がある」
罪悪感の元にはこういった「観念(思い込み、マイルール)」があるというお話をしてきました。
そしてその観念は多くの場合無意識的なものであり日常生活では認識困難であるゆえに、
一度机の前でノートを広げてペンを片手に自分の思い込みを列挙していくなど、立ち止まって気づいていくことが非常に大切です。
観念に気づいてあげることにより、罪悪感に繋がってしまうような強烈な思い込みを癒やしてあげることが可能になります。
例えば…
・自分には「時間は絶対厳守せねばならない」という強固な思い込みがある
→確かに時間を守ることは大切だけどしょうがない時だってある。遅れると分かった時点で一報すれば大丈夫。そんなに自分を責めなくて平気。
・自分には「30歳までに結婚しないと女として腐ってしまう」という強固な思い込みがある
→周囲は結婚してるかもしれないけど「結婚=自分の価値」なんかでは決してない。結婚していようが独身だろうが素晴らしい女性はたくさんいる。自分は自分らしくあればいい。
こんな感じですね。
「日常的に罪悪感を抱きがちでしんどい」という人は是非一旦立ち止まり、
自分の中の観念(思い込み)にスポットライトを当ててみてください。
そしてその観念を癒やしてあげてください。
根気強く観念と向き合うことにより「あ、こんなことで罪悪感を抱える必要はなかったのかもな」と悟ることができ、今よりずっと生きやすくなると思います。