昨日の罪悪感についての記事で「観念(思い込み、自分ルール)」という心理学概念の話をしました。
この「観念」が強い罪悪感の原因になったり、自分を無価値だと思い込んでしまう原因になったり、他人軸で振り回されてしまう原因になったりします。
「楽に生きられないのはなぜなのか」
「なぜ何となく生きにくさを感じてしまうのか」
「なぜ振り回されてしまうのか」
その直接の原因はこの「観念」であることが多いのですね。
(詳しくは昨日の記事をご覧ください。)
では、一体何がその観念を作り出しているのかということですが、
それは幼少期の親子関係が原因であることが多いのです。
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罪悪感や無価値観や他人軸などの「生きにくさ」を作り出すのは「観念(思い込み、マイルール)」である。
そしてその「観念」を作り出すのは「親子関係」である。
つまり「生きにくさ」の原因の原因は「親子関係」にあると観ることができます。
具体的に言うとどういうことでしょうか。
まず前提として、子供は非常に無力です。
小さい子は親に捨てられれば文字通り命の危機に瀕します。
現代では親のいない子が入所できる施設などもあり、命の危機というのは言い過ぎではないかと思われるかもしれませんが、
そういった福祉施設が登場するのはおそらくここ数百年のことでしょう。
一方で、アフリカで人間が類人猿(チンパンジーに似た動物)から分岐し「ヒト」となってから700万年の歴史があります。
この700万年の歴史の中で、親に見捨てられた子、親の庇護を受けられなかった子、トラブルや喧嘩などで親元を離れてしまった子はほとんど生き残ることができなかったでしょう。
(サバンナで幼子がウロウロしていたら即ライオンやその他肉食獣の餌になります。)
よって、人間には「幼少期に親に捨てられたら生きていけない」という遺伝子がプログラムされています。
幼い子は本能的に親に捨てられること、無視されること、嫌われることを恐怖するのです。
幼少期〜小学生頃までの私たちにとって親が言うことは絶対です。
「人前では良い子にしてなさい」と言われたら人前では良い子にしなければいけないというルールが潜在意識にプログラムされます。
「礼儀正しく恥ずかしくない子になりなさい」と言われたら子供なりに社会常識から逸れないように逸れないようにと、潜在意識にプログラムされます。
「○○ちゃんは勉強ができるのにどうしてあんたはダメなの」と言われたならば親を失望させた無価値観と、他人への競争心が潜在意識にプログラムされます。
「あんたは男の子なんだから」「あんたは女の子なんだから」と、性を強く意識させられる教育をされてきた子は、性別についての固定観念が強く潜在意識にプログラムされます。
優秀であれば褒められる、人より劣っていれば怒られるということを繰り返してきた子は、他人との優劣、比較に非常に敏感になるよう潜在意識にプログラムされます。
私たちのさまざまな「こうあるべき」「こうでなければならない」という観念の基礎は幼少期に立ち上げられ、
成長し社会と関わっていく中でそれはより強化されていきます。
「何だか生きにくい」
「何だか振り回されがち」
「罪悪感や無価値感を抱くことが多い」
その原因は「〜すべき」という観念であり、
さらにその根本的な原因は幼少期の親子関係にあることが多いのですね。
「子供は誰でも親に傷つけられる」という言葉があります。
私はこの言葉に大賛成です。
これは親が悪いわけではありません。
もちろん子供が悪いわけでもありません。
前節で述べたように、進化により私たちがそのようにプログラムされたのです。
親の意見や評価や叱責や態度によって子供の根本的な価値観(観念)が作られ、
その価値観に振り回されるというのは至極当然なことなのです。
幸運なのは、その「親によって作られた観念」は、私たちが大人になった後に適切な方法で癒やしてあげられることです。
・社会人なら時間は守るべきだ
・就職したらずっとその会社で働くべきだ
・お客様には笑顔で対応すべきだ
・○歳なら○○万円は貯金をしているべきだ
・○歳までに結婚をしているべきだ
・皆に好かれるべきだ
・いつもポジティブであるべきだ
・男は女より仕事ができるべきだ
・男は女より年収が高いべきだ
・女は家事全般完璧にこなせるべきだ
・良妻賢母であるべきだ
・母親は子供にいつも優しくすべきだ
私たちの中にはいくつもの常識、思い込み、観念があります。
そしてその一つ一つの基部には親との関わり合いが関係しています。
まず、あなたを振り回し苦しめている「観念(思い込み)」に気づいてください。
そしてその観念の大元はほとんどの場合において親子関係に由来していることを発見してください。
胃腸の不調を感じたら薬を飲み炎症などの「原因」を取り除くことが重要ですが、
普段の食生活を変えるなど「原因の原因」にフォーカスを当てることはさらに重要でしょう。
もしあなたが生きにくさや罪悪感などを感じているのであれば、観念という「原因」に対処することも大切ですが、
親子関係という「原因の原因」にまで遡ることがより根本的に大切なのです。